腎臓病の猫・犬に「お腹の不調」が多い理由と対処法

腎臓病の猫・犬に「お腹の不調」が多い理由と対処法

〜嘔吐・食欲不振・便秘は腎臓のサインかもしれない〜

監修:岡田 京子 先生(獣医師・医学博士 往診専門 るる動物病院 院長)

「最近よく吐く」「食欲がない」は腎臓のサインかもしれない

猫や犬が嘔吐したり食欲が落ちたりすると、まず胃腸炎や食べすぎを疑う飼い主さんが多いと思います。しかし腎臓病が原因で消化器症状が出ていることは少なくありません。

腎機能が低下して血液中に老廃物(尿毒素)が蓄積すると、その尿毒素が胃腸の粘膜を刺激します。これが嘔吐・食欲不振・下痢・便秘といった消化器症状として現れることがあります。

※ 上記の症状が続く場合や急激に悪化した場合は、速やかに動物病院を受診してください。

腎臓病が引き起こす消化器症状の種類

① 嘔吐

腎臓病に関連した嘔吐は、尿毒素による延髄の嘔吐中枢・化学受容器引き金帯(CTZ)への刺激、胃酸の過分泌、消化管粘膜への直接刺激などが原因のひとつと考えられています。週に複数回以上の嘔吐が続く場合は一度検査を受けることをお勧めします。

② 食欲不振

血液中の尿毒素が高くなると、食欲を調整する脳の中枢に影響を与え、食欲が低下します。また口内炎や口臭(アンモニア臭)が出ることもあり、食べることへの不快感につながる場合があります。

● いつも食べていたフードを急に食べなくなった場合は要注意のサインのひとつです

● 療法食に変えたタイミングで食べなくなるケースもありますが、食欲自体の低下と区別する必要があります

③ 便秘・下痢

腎臓病による脱水が進むと腸の動きが鈍くなり、便秘になりやすい状態になります。一方で腸内環境の悪化により下痢が起こることもあります。

● 便秘が続くと腸内で老廃物の再吸収が増え、腎臓への負担がさらに上がるという悪循環につながります

● 便の状態(硬さ・回数・色)を日頃から観察しておくと変化に気づきやすくなります

消化器症状があるときの日常ケアの工夫

食事の与え方を見直す

一度に大量の食事を与えると胃への負担が増します。1日の食事量を変えずに回数を増やして少量ずつ与えることで、嘔吐のリスクを下げられる場合があります。

● 1日2回から3〜4回に分けて与える

● 食事をほんの少し温めると香りが立ち食欲を刺激することがあります

● 水分量の多いウェットフードは消化への負担が比較的少なく、水分補給の観点からも腎臓病のケアに適している場合があります

※ 食事の変更は担当の獣医師にご相談の上で行ってください。

腸での老廃物吸着を助けるケア

腸内に蓄積した尿毒素が胃腸粘膜を刺激することが消化器症状の一因です。腸内での尿毒素吸着を助けることで、消化器への刺激を軽減できる可能性があります。

活性炭(吸着炭)は腸内の尿毒素を物理的に吸着して便と共に排出する働きをします。胃腸症状の緩和という観点からも、腸での吸着ケアは腎臓ケアと同時に意味を持つアプローチです。吸着炭の詳しい仕組みについてはこちらの記事で解説しています。

※ サプリメントの使用前に担当の獣医師にご相談ください。

水分補給で腸の動きを助ける

脱水は腸の動きを低下させ、便秘や老廃物の滞留につながります。十分な水分補給は腸の正常な動きを維持するためにも欠かせません。

● ウォーターファウンテンや複数の水飲み場設置など、飲みやすい環境を整えてください

● ウェットフードを活用することで食事から摂れる水分量が大きく増えます

水分補給の具体的な工夫についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

いつ動物病院に行くべきか

以下の症状が見られる場合は早めに受診してください。

● 嘔吐が1日に複数回・数日以上続く

● 水も受け付けない・ぐったりしている

● 血が混じった嘔吐や下痢

● 3日以上排便がない

● 排尿がない

● 急激に体重が落ちた

※ 上記は緊急度が高いサインです。様子を見ずにすぐに受診してください。

まとめ

腎臓病による嘔吐・食欲不振・便秘は、尿毒素が消化管を刺激することで起きます。消化器症状は腎臓病のサインでもあるため、「最近よく吐く」「食が細くなった」という変化を見逃さないことが大切です。少量頻回の食事・腸での吸着ケア・十分な水分補給の3つを日常ケアの柱として取り組むことで、腸と腎臓を同時にサポートすることができます。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師による個別の診断・治療・処方の代替となるものではありません。ペットの健康に関する最終的な判断は、必ず担当の獣医師にご相談ください。

詳しくは免責事項をご確認ください。

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