腎臓病の猫・犬に「リン」を控えるべき理由

腎臓病の猫・犬に「リン」を控えるべき理由

〜避けたい食材と日常の食事管理のポイント〜

監修:岡田 京子 先生(獣医師・医学博士 往診専門 るる動物病院 院長)

なぜ腎臓病の動物にリンが問題になるのか

リンはすべての生物に必要なミネラルで、骨や細胞の形成に重要な役割を果たしています。しかし腎臓病の猫や犬にとって、リンの過剰摂取は病気の進行を早める大きな要因のひとつと考えられています。

健康な腎臓は血液中の余分なリンを尿として排泄できますが、腎機能が低下するとリンが体内に蓄積しやすくなります。血中のリン濃度が高い状態が続くと、ホルモンバランスの乱れや腎組織へのミネラル沈着を引き起こし、腎機能のさらなる低下につながる可能性があります。

※ 血中リン濃度の管理は慢性腎臓病の治療において重要な目標のひとつです。定期的な血液検査で確認することをお勧めします。

リンが多く含まれる食材

特に注意が必要な食材

以下の食材はリンの含有量が高く、腎臓病の猫・犬に与える場合は注意が必要です。

● 乳製品(チーズ・ヨーグルト・牛乳)

● 魚介類(特に内臓・骨ごと食べる小魚)

● レバーなどの臓物(内臓肉)

● 豆類・大豆製品

● 卵黄(卵白も、卵黄の1/40程度ですがリンを含みます)

※ これらの食材を完全に禁止する必要があるかどうかは、病期や血液検査の値によって異なります。担当の獣医師に確認してください。

一般的なペットフードとリンの関係

市販の一般的なペットフードの多くはタンパク質が豊富で、リンも相応に含まれています。腎臓病と診断された場合、リンを制限した「腎臓病用療法食」への切り替えを獣医師から勧められることが多いのはこのためです。

ただし療法食を食べてくれない猫・犬は少なくありません。食べてくれない場合の対応については、担当の先生と相談しながら進めることが大切です。

日常の食事管理で意識できること

① 療法食を使用している場合

腎臓病用の療法食はリンを制限するよう設計されています。食べてくれる場合は続けることが基本です。

● 食べない場合は無理に与えず、まず担当の獣医師に相談してください

● 少量ずつ試す、ウェットタイプとドライを混ぜるなどの工夫が有効な場合があります

● 療法食への切り替えは急に行わず、少しずつ元の食事と混ぜながら移行すると受け入れやすくなることがあります

② 療法食を使用していない場合・手作り食の場合

療法食を使用していない場合は、リンの多い食材を減らす意識を持つことが助けになります。

● リンが少ない傾向にある食材:鶏のむね肉(皮なし)、白身魚(骨なし。きす、ぎんだら、まがれい、タイ等)

● 与える量を適切にコントロールする

● 手作り食の場合は栄養バランスが偏りやすいため、必ず獣医師や獣医栄養士に相談を

※ 手作り食は腎臓病の管理において難易度が高く、専門家の監修なしには推奨されません。

③ おやつ・間食に注意

メインの食事を気をつけていても、おやつで思わぬリンを摂取していることがあります。

● チーズ・ちくわ・かまぼこなどの加工食品はリンが多い傾向があります。特に加工食品に含まれるリン酸塩(食品添加物)由来のリンは吸収率が高く、より注意が必要です

● 腎臓病用のおやつを選ぶか、おやつの量自体を減らすことを検討してください

まとめ

リンの過剰摂取は腎臓病の進行を早める要因のひとつとされています。療法食への移行が基本ですが、食べてくれない場合は担当の獣医師と相談しながら現実的な対応策を探ることが大切です。リンが多い食材(乳製品・臓物・豆類など)を把握しておくことで、日常の食事管理に活かせます。

血液検査の数値(リン・BUN・クレアチニン等)の見方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師による個別の診断・治療・処方の代替となるものではありません。ペットの健康に関する最終的な判断は、必ず担当の獣医師にご相談ください。

詳しくは免責事項をご確認ください。

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