腎臓ケア用語集
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GLOSSARY
腎臓ケア用語集
ブログ記事に登場する専門用語をやさしく解説しています。気になる言葉をクリックすると説明に飛びます。
※本用語集は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療の代替ではありません。
腸
腸腎軸・吸着に関する用語
腸腎軸(ちょうじんじく)
Gut-Kidney Axis
腸と腎臓が互いに影響し合う関係のことを指します。腸内環境が悪化すると腎臓への負担が増し、逆に腎臓の機能が低下すると腸内環境も乱れるという双方向の関係が存在します。近年の研究で注目されている概念です。
腸を整えることが腎臓ケアにもつながる理由はこの関係にあります。
ディスバイオーシス
Dysbiosis
腸内細菌のバランスが崩れた状態のことです。悪玉菌が増えると、タンパク質の発酵・分解によって「インドキシル硫酸」「p-クレジル硫酸」などの尿毒素前駆物質が腸内で大量に産生されます。これらは腸壁から吸収されて血液中に入り、腎臓に負担をかけるとされています。
※腸内環境と腎臓病の関係は研究が進んでいる分野であり、すべてが解明されているわけではありません。
リーキーガット
Leaky Gut
腸壁の細胞間の接合部(タイトジャンクション)が弱まり、本来吸収されないはずの有害物質が血液中に漏れ出しやすくなった状態です。腸内環境の乱れ(ディスバイオーシス)によって引き起こされることがあり、全身的な炎症や腎臓へのダメージにつながる可能性が指摘されています。
尿毒素(にょうどくそ)
Uremic Toxins
本来は尿として体外に排泄されるはずの老廃物が、腎機能の低下により血液中に蓄積したものです。代表的なものに尿素窒素(BUN)やクレアチニンがあります。蓄積すると嘔吐・食欲不振・体重減少などの症状につながることがあります。
吸着炭・活性炭(きゅうちゃくたん・かっせいたん)
Activated Charcoal / Adsorbent Carbon
多孔質構造を持つ炭素素材で、腸内の尿毒素を物理的に吸着して便と一緒に体外へ排出する働きをします。腎臓病の治療薬として使われるコバルジン(球形吸着炭)もこの考え方に基づいています。
吸着炭は処方薬と2時間以上ずらして与えることで、薬の効果を妨げずに使えます。
※サプリメントとしての使用前は必ず担当の獣医師にご相談ください。
関連:
コバルジン
コバルジン
Kremezin / Spherical Activated Carbon
球形吸着炭を主成分とする腎臓病の管理・補助療法として使われる処方薬です。球形の活性炭が腸内で尿毒素前駆物質を吸着・排泄することで、血液中の尿毒素濃度を下げる効果が期待されています。獣医師の処方なしには使用できません。
※コバルジンは処方薬です。担当の獣医師の指示に従って使用してください。
検
血液検査の数値に関する用語
BUN(血中尿素窒素)
Blood Urea Nitrogen
タンパク質が体内で分解された後に生じる老廃物「尿素」の血中濃度です。腎臓が正常に機能していれば尿として排泄されますが、腎機能が低下すると数値が上昇します。ただし食事内容(高タンパク)や脱水によっても一時的に上がるため、単独では判断せず他の項目と合わせて評価します。
クレアチニン(Cre)
Creatinine
筋肉のエネルギー代謝で生じる老廃物で、ほぼ腎臓のみで排泄されます。そのため腎機能をより直接的に反映する指標とされています。筋肉量が少ない高齢の猫や痩せた動物では実際の腎機能より低く出ることがある点に注意が必要です。
クレアチニンは腎機能がおよそ75%失われるまで正常範囲内にとどまることが多い点が課題です。
SDMA(対称性ジメチルアルギニン)
Symmetric Dimethylarginine
近年普及した腎臓マーカーです。クレアチニンより早期の段階から腎機能低下を検出できるとされており、腎機能がおよそ25%低下した段階から上昇するとされています。研究では猫で平均17ヶ月・犬で平均9.5ヶ月早く変化を検出できたという報告があります。また筋肉量の影響を受けにくいため、高齢・痩せた動物での評価にも有用です。
SDMAは2023年改訂のIRISガイドラインでも評価項目として位置づけられています。一度の測定だけでなく継続的な変化を見ることが重要です。
※SDMAの検査は動物病院によって対応状況が異なります。希望する場合は担当の獣医師にご相談ください。
リン(P)
Phosphorus
骨や細胞の構成に必要なミネラルです。腎臓病が進行すると血中に蓄積しやすくなり、腎臓の組織をさらに傷つけるとされています。食事内容の管理(リン制限)やリン吸着剤の使用が検討されることがあります。
血中リン濃度の管理は慢性腎臓病の治療において重要な目標のひとつです。加工食品に含まれるリン酸塩(食品添加物)由来のリンは天然食品より吸収率が高く、より注意が必要です。定期的な血液検査で確認することをお勧めします。
関連:
IRISステージ
尿比重(にょうひじゅう)
Urine Specific Gravity
尿の濃縮能力を示す指標です。腎機能が低下すると尿を濃縮する力が弱まるため、薄い尿(低比重)が続くことがあります。多飲多尿のサインのひとつとしても確認されます。
病
病気・状態に関する用語
慢性腎臓病(CKD)
Chronic Kidney Disease
腎臓の機能が慢性的に低下した状態です。猫の死因2位・犬の死因3位とされており、7歳以上の猫では30〜40%が発症するとも言われます。一度失われた腎機能は回復しないため、残存機能をいかに長く維持するかが治療・ケアの目標となります。
尿毒症(にょうどくしょう)
Uremia
腎機能が著しく低下し、本来排泄されるべき老廃物(尿毒素)が血液中に大量に蓄積した状態です。嘔吐・食欲不振・体重減少・ぐったりするなどの症状が現れることがあります。進行した慢性腎臓病でみられる状態です。
多飲多尿(たいんたにょう)
水をよく飲み、おしっこの量が増える状態です。腎臓病の初期サインのひとつとして知られています。腎機能が低下すると尿を濃縮する力が弱まり、薄い尿を大量に出すようになるため、失われた水分を補おうと水を多く飲むようになります。
※多飲多尿は腎臓病以外の病気(糖尿病・副腎疾患など)でもみられます。気になる場合は動物病院を受診してください。
脱水(だっすい)
Dehydration
体内の水分が不足した状態です。腎臓病のペットは脱水に陥りやすく、脱水になると腎臓への血流が減り機能がさらに悪化するリスクがあります。皮膚をつまんで戻りが遅い・口の粘膜が乾いているなどが脱水のサインです。
十分な水分補給は腎臓病ケアの基本です。ウェットフードの活用やウォーターファウンテンが助けになります。
治
治療・ケアに関する用語
療法食(りょうほうしょく)
Prescription Diet
特定の疾患の管理を目的として設計されたペットフードです。腎臓病用の療法食はタンパク質・リンを制限し、腎臓への負担を軽減するよう配合されています。獣医師の処方・推奨のもとで使用するものです。食べてくれない場合の対処は担当の先生に相談してください。
処方薬(しょほうやく)
Prescription Medication
獣医師の診察・処方なしには入手・使用できない薬です。腎臓病に使われる主な処方薬には、吸着炭製剤(コバルジン)・ACE阻害薬(フォルテコールなど)・リン吸着剤などがあります。サプリメントと異なり医薬品としての効能が認められたものです。
輸液療法(ゆえきりょうほう)
Fluid Therapy
点滴や皮下輸液によって体内に水分・電解質を補給する治療法です。腎臓病では自宅での皮下輸液(在宅輸液)を指示されるケースもあります。腎臓への血流を維持し、老廃物の排泄を助ける目的で行われます。
分
分類・指標に関する用語
IRISステージ
IRIS (International Renal Interest Society) Staging
慢性腎臓病の重症度を国際的に統一した基準(ステージ1〜4)で分類するシステムです。クレアチニン値とSDMAが主な判断指標となり、リン値・血圧・タンパク尿の程度でサブステージが決まります。
ステージ1:クレアチニン値は正常範囲内でも、腎臓の形態異常・持続的なタンパク尿・SDMAの上昇など何らかの異常所見がある段階
ステージ2:軽度〜中等度。日常ケアと定期モニタリングが重要
ステージ3:中等度〜高度。積極的な治療が必要になることが多い
ステージ4:重度。集中的な管理が必要
ステージ2:軽度〜中等度。日常ケアと定期モニタリングが重要
ステージ3:中等度〜高度。積極的な治療が必要になることが多い
ステージ4:重度。集中的な管理が必要
※ステージの判断は複数回の検査結果と臨床症状を総合して担当の獣医師が行います。
糸球体濾過率(GFR)
Glomerular Filtration Rate
腎臓の糸球体が1分間にどれだけの血液を濾過できるかを示す指標です。腎機能の直接的な指標とされていますが、測定が複雑なため日常的な検査にはクレアチニンやSDMAが使われることが多いです。
タンパク尿(たんぱくにょう)
Proteinuria
尿中にタンパク質が多く含まれる状態です。健康な腎臓はタンパク質を尿に漏らしませんが、腎臓の糸球体が傷つくと尿にタンパク質が出てきます。腎臓病の進行度や予後の指標のひとつとされており、IRISのサブステージ分類にも使われます。
本用語集は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療行為の代替となるものではありません。
症状や治療に関することは必ず担当の獣医師にご相談ください。
監修:岡田 京子 先生(獣医師・医学博士 往診専門 るる動物病院 院長)※監修前ドラフト
症状や治療に関することは必ず担当の獣医師にご相談ください。
監修:岡田 京子 先生(獣医師・医学博士 往診専門 るる動物病院 院長)※監修前ドラフト